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甲府地方裁判所 平成9年(わ)72号 判決 1997年5月27日

本店所在地

甲府市徳行二丁目四番一〇号

被告人

竜王工業株式会社

(代表者代表取締役 田上繁光)

本籍

山梨県中巨摩郡竜王町竜王二四七九番地

住居

甲府市徳行一丁目一八番九号

職業

会社役員

被告人

入戸野直

昭和一七年一〇月一六日生

主文

被告人竜王工業株式会社を罰金三〇〇〇万円に、被告人入戸野直を懲役一年六月に処する。

被告人入戸野直に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人竜王工業株式会社(以下「被告会社」という。)は、甲府徳行二丁目四番一〇号に本店を置き、建築請負工事を目的とする資本金二〇〇〇万円の株式会社であり、被告人入戸野直(以下「被告人入戸野」という。)は、平成九年三月一九日まで被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人入戸野は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、外注費を架空計上するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  平成三年一二月二一日から平成四年一二月二〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億六七七六万九五三七円であったのにかかわらず、平成五年二月九日、甲府市丸の内一丁目一一番六号所轄甲府税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二五九万一七九六円で、所得税額を控除すると納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額五八三一万三七〇〇円を免れ

第二  平成四年一二月二一日から平成五年一二月二〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が七五六二万三四四四円であったのにかかわらず、平成六年二月二一日、前記甲府税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七九六万七〇七五円で、所得税額を控除すると納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二四〇二万七六〇〇円を免れ

第三  平成五年一二月二一日から平成六年一二月二〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億一〇四八万五五六二円であったのにかかわらず、平成七年二月二〇日、前記甲府税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五八五万三〇九八円で、所得税額を控除すると納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額三八二六万三七〇〇円を免れた。

(証拠)(括弧内の甲乙の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。)

判示事実全部について

一  被告人入戸野の公判供述

一  第一回公判調書中の被告人入戸野供述部分

一  被告人入戸野の検察官調書六通(乙2、10、16、18、24、26)

一  内藤壽美子(二通。甲71、72)、入戸野百合子(三通。甲80、82、84)、太幡菊雄(甲100)、山下武司(甲102)、浅川徳男(二通。甲111、112)、宮島五郎(甲123)の各検察官調書

一  萩原勝(甲69)、本間俊宏(甲70)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  脱税額計算書説明資料二通(甲13、30)、外注加工費調査書(甲16)、交際費調査書(甲19)、受取利息調査書(甲21)、雑収入調査書(甲22)、安全会費調査書(甲24)、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書二通(甲26、44)、交際費等の損金不算入額調査書二通(甲28、46)、現金調査書(甲31)、預金調査書(甲32)、代表者勘定調査書(甲35)、預り金調査書(甲40)、未払消費税調査書(甲42)、控除所得税額等調査書(甲48)、査察官報告書五通(甲49ないし53)

判示第一及び第二の各事実について

一  被告人入戸野の検察官調書四通(乙11、14、19、23)

一  長田吉宗(甲88)、小池齊(甲89)、植松勉(甲90)、小池操(甲92)、岩崎長徳(甲95)、小泉悦子(甲105)の各検察官調書

一  支払手数料調査書(甲20)、未完成工事支出金調査書(甲34)、未完成工事受入金調査書(甲39)

判示第一及び第三の各事実について

一  被告人入戸野の検察官調書五通(乙5、8、20、21、22)

一  田中功(甲94)、村松昭一(甲97)、小野宣久(甲98)細川由也(甲103)、大野こと姜三郎(甲106)、木村弘行(甲107)の各検察官調書

判示第二及び第三の各事実について

一  被告人入戸野の検察官調書二通(乙9、12)

一  佐野稔(甲86)、深澤良邦(甲99)、志村重男(二通。甲108、109)、中村謙一(甲115)、川島正純(甲117)、佐藤勝(甲118)、保坂明男(甲119)、前島伯秀(甲120)、宮島五郎(甲125)、井上忠喜(甲127)、仲沢昭弘(二通。甲128、129)の各検察官調書

一  完成工事収入高調査書(甲14)、期末仕掛品棚卸高調査書(甲18)、事業税認定損調査書(甲25)、工事未払金調査書(甲38)、未納事業税調査書(甲43)

判示第一の事実について

一  被告人入戸野の検察官調書(乙13)

一  入戸野百合子(甲85)、遠藤貞雄(甲93)、中村政雄(甲96)、手塚誠(甲104)、浅川徳男(甲110)、鶴田朝江(甲113)、島田嘉明(甲114)、宮島五郎(二通。甲124、126)の各検察官調書

一  深澤章人(甲54)、伊藤久幸(甲57)、小林生長(甲58)、菊原敏男(甲59)、松本英正(甲62)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  野沢茂作成の申述書(甲65)

一  脱税額計算書(甲7)、法人税額計算書(甲10)、主要材料費調査書(甲15)

一  平成三年一二月二一日・平成四年一二月二〇日事業年度の法人税確定申告書一冊(平成九年押第九号符号3)

判示第二の事実について

一  被告人入戸野の検察官調書二通(乙3、15)

一  内藤壽美子(甲73)、酒井節夫(甲116)の各検察官調書

一  有田芳文(甲60)、佐野義彦(甲64)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  脱税額計算書(甲8)、法人税額計算書(甲11)、支払利息割引料調査書(甲23)、寄附金の損金不算入額調査書(甲29)、短期借入金調査書(甲36)、長期未払金調査書(甲41)、寄附金の損金不算入額調査書(甲47)

一  平成四年一二月二一日・平成五年一二月二〇日事業年度の法人税確定申告書一冊(平成九年押第九号符号2)

判示第三の事実について

一  被告人入戸野の検察官調書五通(乙4、6、7、17、25)

一  内藤壽美子(甲74)、古屋知美(甲75)、入戸野百合子(甲81)飯島学(甲87)、千野久男(甲101)、大森正樹(甲121)、小澤主江(甲122)の各検察官調書

一  志村達也(甲55)、上野俊彦(甲56)の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  脱税額計算書(甲9)、法人税額計算書(甲12)、期首仕掛品棚卸高調査書(甲17)、利子割還付調査書(甲27)、完成工事未収金調査書(甲33)、利子割還付調査書(甲45)

一  平成五年一二月二一日・平成六年一二月二〇日事業年度の法人税確定申告書一冊(平成九年押第九号符号1)

(法令の適用)

被告会社の判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一六四条一項、一五九条一項に、被告人入戸野の判示各所為は、各事業年度ごとに同法一五九条一項にそれぞれ該当するところ、被告会社については、情状により同法一五九条二項を適用し、被告人入戸野については、所定刑中懲役刑を選択することとし、以上は、刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については、同法四八条二項により合算した罰金額の範囲内において罰金三〇〇〇万円に、被告人入戸野については、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年六月にそれぞれ処し、被告人入戸野に対し情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

(検察官信田昌男、私選弁護人梶原等各出席)

(求刑-被告人会社に対し罰金四〇〇〇万円、被告人入戸野に対し懲役一年六月)

(裁判官 髙取真理子)

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